月と太陽のハイド&シーク おぼえがき

7月のキズエン3開催に合わせて、約1年ぶりに同人誌を作りました。新刊のタイトルは「月と太陽のハイド&シーク」です。収録した作品の内容についてのもろもろは本のあとがきに書き記したので、ここには本の制作について忘備録的に書き残しておきたいと思います。
収録した小説(表題作)は、3月頃から書いていたようです。お話がだいたい書けてから口絵や表1表4用の絵を描きました。↓は後からラフを見返したら面白かったので作ってXとBlueskyにアップした「表紙デザインができるまで」まとめ画像です。

新刊は昨年作った本と並べておける感じにしつつ、何か新しいことも取り入れたいなと思っていました。B6左綴じの仕様は同じにしたくて、そうするとB6に対応してる印刷所さんの選択肢が少なくて、結局前回と同じくおたクラブさまに頼むことに決めました。最初、本を作ろうかなと思ったきっかけは別の印刷所のキャンペーンだったのですが、そちらはB6対応していなかったので…。
表紙の紙とPP加工と箔の組み合わせには相当迷いました。キラキラ系の特殊紙などを試してみたい気持ちもありつつ、前回の本と並べるならやっぱり前回と同じベルベットPPにしたいなと思い、それならPPの質感が強いからシンプルな紙でいいかなと。
そこに箔で題字を入れたい。ベルベットPPのしっとり質感に、つやっと箔押ししたい! と思い、前例とか調べてみたところ、どうやらベルベットPPに箔押しはいろいろ不安要素が多そうだと知りました。印刷所によってはそもそも受注しないようでしたが、お願いするつもりだったおたクラブさまは受注OK。ただし、箔押しするところ以外に箔の破片付着する場合があるよ、目立つ場合もあるけど仕様だよ、というような趣旨のなかなか怯ませてくる文言が明記されていました。
ベルベットPPの場合、箔の破片が箔デザイン以外の部分に付着する事があります。デザインによっては目立つ場合がございますが、PPの特性によるため仕様となります。
破片が付着ってどんな見え方なの??と調べたけど実例みたいなものは見当たらず。まあでも、自己責任でやってみますかね、とやることにしました。
箔の色も相当迷いました。表紙絵に色収差のついた光を描いていたので、ホロ系の箔ならもし破片が付着してもなじむのではないかなという目論見で最終的にホロゴールドレインボー箔を選びました。マットゴールドとかパールホワイトとかシャンパンゴールドあたりもめっちゃ気になってたのですが。
ホロゴールドレインボーは、偏光レインボーカラーだけど派手ではなく上品な感じで、角度によって赤っぽくも青っぽくも見えるところが今回のお話のタイトルやイメージにも合ってよかったなと思っています。
今回、初回入稿データで2か所ほど差し戻しをいただいたのですが、箔押しのデータは、差し戻し事由のひとつでした。おたクラブの差し戻しは事由のみが書いてあって具体的な箇所は記載されないのですが、おそらく抜きが明らかに細いとこがあったり、筆記体のフォントがかなり細い線だったあたりが推奨される基準に引っかかったのだと思われます。……しかし、さくっといい感じに修正できる気もしなかったので、まあ潰れるとこがあってもいいや! と修正なしで進めることに。もう一つの差し戻し事由は文字組に関してだったのですが、それは後述します。
修正なしで進めましたが、表紙の箔押しはとてもきれいに仕上げていただきました。太陽の「陽」の字の抜きがややつぶれてるかな?という感じはありますが全然読めるし問題なし! 筆記体含め、小さな文字もとてもきれいに入れていただきました。

ただ、ベルベットPPに箔は定着があまりよくないそうなので、剥がれてしまうこともあるのかな…保護したい場合は、青年コミック単行本と同じB6サイズなので、100均などで売っているコミック本用のクリアカバーつけることができますよ。ベルベットPPは傷も目立ちやすいので……。カバーをつけるとベルベットPPのあのやわらかな手触りが楽しめなくなってしまうのですが。
まあ、箔が一部剥がれてもいいように(?)表4や背表紙にもタイトルを入れました。あっ、背表紙もですね、背幅5ミリ以下の本の背にデザイン入れるのは非推奨で……いや、でも注文時の背幅計算ではギリ5.1ミリとかだったから行ったれ! と。結果、中心からのズレもほぼ気にならず、きっちり背に文字をいれてくださいました。大感謝。

遊び紙。口絵を入れるなら巻頭の遊び紙はなしでも良いのかなとも思うけど、トレペ系の遊び紙から口絵が透けて見える感じが好きで。前の本はカラートレペにしたけど、今回はシンプルに白いクラシコトレーシングに。表紙をめくるとまず、見つめ合うふたりをすりガラス越しに眺められるようなかわいい仕上がりになって大満足です。巻末の遊び紙はタントキラを選んでみました。こちらも期待以上に表紙との色や質感の相性が良くてめちゃ気に入ってます。軽くテクスチャ感のある、品の良いパール系の紙でかわいいです。
口絵は収録した2編の小説それぞれのイメージのカラーイラストです。どちらもイベントに合わせてWebに掲載したカットですが、それぞれ印刷用に少し加筆修正しました。前の本はノド側がすこし見づらいなと感じたのでその教訓を生かして余裕をもたせて配置しましたよ。
ほんとは口絵もう2ページ増やして、間に見開きでイラスト入れようかなとかも考えたのですが、見開きデータ上手く作る自信がなくてあきらめました。いずれ機会があれば挑戦してみたいです。
本文ページ。前の本はオフホワイトの上質紙でしたが、今回はクリーム色の書籍用紙にしました。収録した「ひそかなる炎」は、初出Web展示したものなのですが、このときに使わせていただいたhtmlテンプレがレトロな小説本風のデザインで背景クリーム色だったので、その雰囲気と合わせようと思いました。内容的にもひんやりした感じの前の本と、じんわりぬくもりある感じの今回の本で、対比にもなって良いかなと。なかなか気に入ってます。
今回、中扉から目次、小説2編、あとがきとおまけ雑文、奥付までの本文データはすべてAffinityPublisherで作成しました。Affinityは昨年のブラックフライデーセールでユニバーサルライセンスを買っていたのですが、それまでほぼDesignerしか使っておらず、今回初めてPublisherを使いました。前回の本文データはWordで作成したのですが、マージンの設定や使用フォント、行間の設定ぜんぶ同じにしたはずなのだけどなぜか明らかにすべてが違う(原因はまだちゃんと理解できていません……)。そんなわけで、全体の文字数は前の本と同じというか今回のほうが少し多いぐらいなのですが、1ページあたりの文字数が増えた分、スリム化しております。

初稿差し戻し事由もうひとつはおそらく本文マスターの柱(上部マージンに入れた作品名)が推奨の見切れ防止ラインを大幅にはみ出していたことでした。ライン内に収めると本文に柱が近すぎるなと感じてあえて枠外に配置したものでしたが、複数ページで文字切れる可能性ありますとか言われて怯みまして、推奨ライン内にギリ収めるとともに、奇数ページ(見開き右ページ)のみの片柱に調整して再入稿しました。おそらく直さなくても裁ち切られることはなさそうな仕上がりでしたが、切れなくてもあまり端だとバランス悪いから修正して正解だったと思います。次また同じような形式で本を作るなら本文の上下をもう少し調整したいかな。
ロゴや中扉、目次、奥付はAffinityDesignerでなんとなく作ったものをそのままPublisherに持ってきました。あのぐらいシンプルなものならPublisher自体で最初から作っても良いかも。
今回、小説2編にはモノクロイラスト入の中扉を入れました。モノクロイラストのデータの扱いを試してみたい気持ちがあり…。口絵に使ったカラーイラスト(の元絵)をモノクロ2階調データに加工したものです。小説本なので文字優先で印刷してもらったのですが、このモノクロ絵もまあ問題なく出てくれました。1編目のほうのトーンがややモアレ出てるけど、自分では気になるほどではないかな。
今回の表題作は「隠れる月(スタルーク)と照らし出す太陽(ディアマンド)」みたいなテーマだったので、そのイメージで「本の中に隠れるスタルークの栞」をつけたいなと思って一緒に刷りました。本の表紙はPP加工に合わせてシンプルな紙を選んだので、栞はキラキラ系のパールスノーペーパー(プラチナ)を使ってみました。写真だとわかりづらいですが細かい粒子のパール感でとてもかわいいです。画角決められなくて、同じ絵のトリミングとデザイン違いで2パターン刷りました。

本と栞あわせて5月11日に最長納期(16営業日発送)でデータ入稿して、予定より1週間以上早く刷りあがって5月27日には納品されました。頑張って仕上げた小説や絵にはもちろん思い入れがありますが、本のデータづくりや装丁のあれこれもいろいろ迷いながら楽しんで決めたので、刷り上がりを手にするのはやっぱりうれしいものですね。告知用に動画撮って文字まで入れたので、ここにも掲載しておきます。箔や遊び紙の感じ、なんとなく伝わりますでしょうか。
そして今回、この本を読んでくださった方から小説の場面のイラストをいただくという初めての経験もしまして、めちゃめちゃ感動&うれしかったので、そちらもここに一緒に掲載させていただきます。
なんと、れおさん(@yoizorastar)が、新作「月と太陽のハイド&シーク」の一場面を描いてくださったので皆さん見てください…!(掲載許可いただいてます)
— マリー💍 (@marie_dqx) July 27, 2025
兄上が見つけてくれるのを隠れて待ってる小さいスタくん。かわいいですー😭 pic.twitter.com/WgT4AUE3ZL
そんな感じで、楽しく作った新刊「月と太陽のハイド&シーク」制作にまつわるあれこれ記録でした。キズエンに合わせてBOOTHで自家通頒を開始しましたが、まだ少しありますのでご興味ある方はぜひお手にとってみてください。ディアスタ小説メインの本です。よろしくどうぞ。